明度、色相、彩度:いちばん大事なのは明度
空を描きました。青はぴったりの色なのに、絵に穴があいたように見えます。問題は青ではなく、明るさと暗さです。色は3つのことばで表せます。1つだけ覚えるなら、明度を覚えてください。
色を表す3つのことば
- 明度:明るいか、暗いか。Tubomixは1(黒)から10(白)で表し、どの混色の横にもこの数字を表示します。
- 色相:どんな種類の色か。赤、オレンジ、黄、緑、青、紫、そしてそのあいだのすべて。
- 彩度:鮮やかか、くすんでいるか。カドミウムレッドは鮮やかで、バーントシェンナはくすんだ赤みのオレンジです。
この3つは別々のつまみです。絵の具では、何か1つ足すと、いくつも同時に変わることがよくあります。それでも、それぞれの主な道具を覚えておきましょう。明度には白、色相には隣の色(赤を少し足すと黄色はオレンジへ寄ります)、彩度にはグレーです。
色相にはそれぞれ、自然な明度もあります。いちばん鮮やかになる明度です。いちばん鮮やかな黄色は明るく(明度8か9)、いちばん鮮やかな紫は暗い色です。明度3で黄色のままの黄色は作れません。暗くするとオリーブグリーンか茶色になります。Tubomixが、手持ちのチューブではその色をぴったりには作れない、と言うことがあるのは、これが理由のひとつです。
明度:暗から明への階段
明度の階段
バーントシェンナに、白を少しずつ多く。それぞれの段に、1(黒)から10(白)までの明度が出ています。
段をタップすると、明度とレシピが読めます。
階段のどの段も、色相はほぼ同じまま、明度が1段ずつ上がっていきます。手持ちのチューブそれぞれで、こんな階段を塗ってみてください。これ以上の練習はありません。10分で、明度を1段上げるのに白がどれだけいるかがわかります。
なぜ明度がいちばん大事なのか
わたしたちの目は、細部、形、立体感を、おもに明るさと暗さで見ています。色についてはずっと大ざっぱです。白黒写真は問題なく読み取れますが、色は正しく明度がまちがっている絵は、読み取りにくいでしょう。
絵の中で、明度が正しく色相が少しずれた色は、気づかれないことがよくあります。色相は正しくても明るすぎたり暗すぎたりする色は、すぐに目立ちます。穴があいたように、あるいはしみのように見えるのです。
どちらのまちがいが目立つ?
同じ色をねらった2つの試し:一方は明度が正しく、もう一方は色相が正しい。それからグレーで見てみましょう。
明度は正しく、色相が違う
明度は同じ(5)で、色相が少しずれています。絵の中ではその場所に収まり、光のつじつまも合っています。
色相は正しく、明度が違う
色相は同じですが、明度が5ではなく7です。絵の中では、しみのように浮き上がります。
グレーで見ると
グレーで見ると、目を細めたときのように、試しAは作りたい色に溶け込み、試しBはすぐにわかります。
目を細めて明度を見る
モチーフを、それからキャンバスを、目を細めて見てください。色が消えて、明度が残ります。どこかが浮き上がって見えたら、そこの明度がまちがっています。Tubomixのパレットにある「明度」ボタンが混色をグレーで見せるのも、同じ理由です。
色相、色の名前
色相は、最初に口にする色の名前です。黄、オレンジ、赤、紫、青、緑。明るいか暗いか、鮮やかかくすんでいるかは表しません。
空色と紺色は同じ色相です。変わっているのはおもに明度です。明るい赤とボルドーも同じです。トマトとレンガ、これも2つの赤ですが、変わっているのはおもに彩度です。
色相は円の上に並んでいる
画家は色相を円の上、色相環に並べます。虹の順番(赤、オレンジ、黄、緑、青、紫)にしたがい、最後に紫が赤につながって円が閉じます。そのあいだに、マゼンタのような赤紫や紫がかったピンクが入ります。虹にはない色ですが、円を閉じてくれます。
- 画家の3つの原色、黄、赤、青は、等しい間隔で並んでいます。伝統的には、ほかのすべての色はこの3色から混ぜて作ります。
- 2つの原色のあいだには二次色があります。オレンジ(黄と赤)、紫(赤と青)、緑(青と黄)。
- 黄からオレンジを通って赤までの色相は暖色、緑から青を通って紫までは寒色と呼ばれます。境目にある黄緑と紫は、チューブによってどちらかに寄ります。
実際には、3本のチューブですべての色は作れません。その理由はレッスン3で説明します。
チューブで作る、画家の色相環
色相を円に並べた、本物のチューブの色です。外側が鮮やかな色、中心へ向かうほど同じ色がくすんでいき、最後はグレーになります。
- カドミウムイエロー
- カドミウムイエロー + カドミウムオレンジ
- カドミウムオレンジ
- カドミウムオレンジ + カドミウムレッド
- カドミウムレッド
- キナクリドンマゼンタ + 白
- ジオキサジンバイオレット + 白
- ジオキサジンバイオレット + ウルトラマリン + 白
- ウルトラマリン + 白
- フタロブルー + 白
- フタログリーン + 白
- カドミウムイエロー + フタログリーン
太字が三原色です。点線は補色どうしを結んでいます。暗いチューブは、色相が見えるように同量の白(1対1)と混ぜて表示しています。
補色は色相環で向かい合う
画家の色相環で向かい合う2つの色相を、補色と呼びます。黄と紫、オレンジと青、赤と緑です。
- 混ぜると、たがいをくすませ、グレーや茶色になります。鮮やかすぎる色を落ち着かせるのに便利です(方法はレッスン5で)。
- 並べると、たがいを鮮やかに見せます。オレンジは青の隣で、より鮮やかに見えます。
ほかの色相環では、向かい側の色が違う
黄色の向かいが紫ではなく青になっている色相環を見たことがあるかもしれません。まちがいではありません。色相環はいくつもあって、それぞれ何を混ぜるかで決まるのです。
4つの色相環、4つの混ぜ方
点がそれぞれの原色、線が補色どうしを結んでいます。
- 画家の色相環、このレッスンの色相環です。絵の具を混ぜるためのもの。原色の黄、赤、青は、アトリエの伝統から来ています。チューブを混ぜた結果をおおまかに予測できますが、あくまで目安です。3本のチューブですべては作れませんし、もっとうまくやる方法はレッスン3で紹介します。
- 光の色相環、画面が使う色相環です。光を混ぜるためのもの。原色は赤、緑、青。この3つの光で、画面はできるかぎり多くの色を表示します。2つの光を合わせた結果を予測します。赤と緑で黄色に、向かい合う黄色と青で白になります。
- 印刷の色相環:白い紙に重ねる透明なインクを混ぜるためのもの。原色はシアン、マゼンタ、イエローです。それぞれが画面の3つの光のうち1つだけを取り去ります(シアンは赤を、マゼンタは緑を、イエローは青を)。インクとその向かい側の色、たとえばシアンと赤を重ねると、黒かそれに近い色になると予測します。今では多くの画家が、このインクに近い3本のチューブから始めます。フタロブルー、キナクリドンマゼンタ、ハンザイエローです。
- マンセルの色相環:何も混ぜず、目に見えるとおりに色を並べます。5つの基本色相、赤、黄、緑、青、紫は、隣どうしのあいだで目が同じ段差を感じるように配置されています。向かい合う2つの色相は、目の中で混ざると、たとえば速く回るコマの上ではグレーになります。赤の向かいは青緑です。TubomixのOKLChの図は、この種類の色相環です。
なぜ違うのでしょう。光を混ぜると、光が足されます。画面では赤と緑で黄色になります。絵の具を混ぜると、光が取り去られます。それぞれの顔料が自分の分を吸収するのです(レッスン1を参照)。2つの補色は、混ぜるとたがいを打ち消し合います。光なら白に、絵の具ならグレーか茶色に。でも、何が何を打ち消すかは、何を混ぜるかによって違います。だから、どの色相環もそれぞれの混ぜ方については正しいのです。
色相、明度、彩度:すべての色の住所
上で見た画家の色相環では、鮮やかな色が外側、くすんだ色が中心寄り、真ん中がグレーでした。では、色相環を家の階のように何枚も積み重ねてみましょう。暗い色が下、明るい色が上です。すると、どの色にも住所ができます。色相環の上の方角(色相)、階(明度)、中心からの距離(彩度)です。紺色と空色は方角は同じですが、階が違います。アメリカの画家アルバート・マンセルは、1905年ごろ、こうして色を整理しました(リンクはページの下に)。マンセルは中心からの距離をクロマと呼んでいます。マンセルの明度は0から10までで、Tubomixの1から10の尺度とはぴったりは一致しません。
彩度:鮮やかな色、くすんだ色
彩度は、色が鮮やかかくすんでいるかを表します。色相も明度も同じなのに、違って見える2つの色があります。一方は輝き、もう一方は落ち着いています。
- トマトは鮮やかな赤、レンガはくすんだ赤です。
- レモンは鮮やかな黄色、からし色やオーカーはくすんだ黄色です。
- 空色は鮮やかで、同じくらい明るいかすんだ青みのグレーはくすんでいます。
チューブでは、カドミウムレッドは鮮やかで、バーントシェンナはくすんだ赤みのオレンジです。
鮮やかからくすみへ、同じ明度のまま
それぞれの色に、同じ明るさのグレーを少しずつ多く混ぜていきます。明度の数字は動かず、彩度だけが下がります。
カドミウムレッド:トマトからレンガ色へ
空色(ウルトラマリン+白):かすんだ青みのグレーへ
段をタップすると、レシピが読めます。
自然の中の色は、たいていくすんでいます。試してみてください。風景の中にカドミウムレッドをそのまま置いて、3メートル下がってみましょう。明度のまちがいのように浮き上がります。
色を暗くせずにくすませる3つの道具と、ひとつの落とし穴は、レッスン5で紹介します。
黒も色相を変える
イエローオーカーと黒で、オリーブグリーンになります。黒は暗くするだけではないのです。黒が色に何をするか、かわりに何を使えばよいかは、レッスン5で紹介します。
イエローオーカー+黒
黒は暗くするだけではありません。イエローオーカーと混ぜると、風景画でとても役に立つオリーブグリーンになります。
イエローオーカー + カーボンブラック少々:オリーブ色(明度 5)。
練習には、いわゆる「ソーン・パレット」を試してみてください。白、イエローオーカー、カドミウムレッド、アイボリーブラックです。スウェーデンの画家アンデシュ・ソーンは、多くの肖像画をこの色だけで描きました(すべてではありません)。ソーンの赤はバーミリオンでしたが、今はカドミウムレッドがその代わりです。
明るい肌の色を試してみましょう。白6部、オーカー1部、赤少々。
覚えておきたいこと
- 色は3つのことばで表せます。明度、色相、彩度です。
- まず明度を合わせましょう。色相の少しのずれは気づかれないことが多く、明度のまちがいはすぐに目立ちます。
- 目を細めると、色が消えて明度が残ります。
- 色相にはそれぞれ自然な明度があります。いちばん鮮やかな黄色は明るく、いちばん鮮やかな紫は暗い色です。
- 画家の色相環では、補色が向かい合います。黄と紫、オレンジと青、赤と緑。光や印刷の色相環では、向かい側の色が違います。
- 自然の中の色はたいていくすんでいます。鮮やかすぎる色は浮き上がります。
もっと知りたい方へ
- Tonal value(英語):明度とは何か、どう判断しどう塗るかを、ブルース・マケヴォイが解説しています。
- Munsell color system(英語):色相、明度、クロマで整理した色、0(黒)から10(白)の明度の尺度、Wikipediaで。
- Color wheelとComplementary colors(英語):色相環と補色について、Wikipediaで。
- Additive colorとSubtractive color(英語):光と絵の具が同じようには混ざらない理由を、Wikipediaで。
- Zorn Palette(英語):ソーン・パレットで何ができるか、なぜソーン自身がいつもそれを守ったわけではないのかを、ジェームス・ガーニーが紹介しています。
- 色を表す数字:Tubomixが1から10の明度をどう計算しているか。